ウイグル旅行記を展開していますが、ちょっと中断します。
というのも、先日行ってきたばかりのウイグルの収容所から奇跡的に脱出してきた人が来日して、その体験談を語るというイベントに一昨日(11/23)参加してきたので、その辺の話をわかりやすく紹介したいと思います。そのためになるべく客観性を持たせるため今回は引用を多用します。
※プライバシーの観点から故意にフェードアウト加工してます。
事前に知っていたことと行った後で思ったこと
度々言及していますが、初台のウイグル料理屋さんですっかりそのおいしさに魅せられた数年前。それから西安を皮切りに、部分部分を西進して今年やっと彼の地へたどり着いたわけですが、
この問題に関しての事前の知識
・ウイグルの人々は弾圧を受けているらしい(漠然とした知識)。
・2008年と2009年に大規模な独立運動が起こって多くの人が犠牲になった。
・新疆ウイグル自治区には多くのムスリムが暮らしていて、20世紀中ごろには東トルキスタン共和国という独立国家を作ったが1949年に中国に併合された。
と、その位。
実際、行ってみての感想
・弾圧を具体的に目にしてない、そもそも弾圧以前に警察や軍隊が至る所にいるし、空港や鉄道のみならず、都市間の車での往来でさえ、検問が二重三重にある。個人的な考えでは、越境の際外国人と漢人以外に対してチェックが厳しい印象。しかし全部が全部そうではない。
・弾圧という割に、フツ―にウイグル人も警官だったりちゃんとした企業で働いている。
・それを探す目的で行ったわけではないので、本当に収容所があるのかどうか不明。ただなんとなく、あれ?と思うところはいくつかあったが、、、、
そんな感じでモヤモヤしていたんですが、丁度自分が滞在していたころに、そういった収容所は無いと断じていた中国政府が、その存在を公式に認めたということがありました。正直“なぜ今?”という思いがあり、事実は一体何なのか、そんなこんなで色々ネットで調べていくうちに今回の講演会のことを知ったので、申し込みをしました。
講演の内容
会場は明治大学リバティホールの一教室。したがって人数はかなり制限がありまして270名。内訳は、多分ウイグル人やその関係者が約半数、他4割くらいが私のような一般の興味を持った人、他は報道関係者など。丁度私の隣に某全国紙の記者さんが座ってて、聞きながら記事を書いててその手際の早さに驚きました。
講演の様子はこの記事が詳しい
具体的にどういう経緯で収容されたか、収容所の中でどんな生活だったか、現在他の家族はどうかなど語られたのですが、それは聞いていくうちに同情して涙が出るというより、自分の身に置き換えて気が滅入るような話ばかりでした。
講演会は、
・明大で現代中国を研究なさっている講師の先生の講演
・収容所から救出されたベカリ氏の講演
・現在拘束されているウイグル大学の学長の実弟の講演
・質疑応答(短時間)
の大体三部構成で、三者三様の立場による多面的な証左なので、個人的に今日報道されていることは大体本当のことなのだろうというのが、(具体的な衝突など見たわけではありませんが)自分が現地を旅して後の感想です。
因みに質疑応答では、代表的な質問として、
・なぜこの問題が起こると思うか?
・現在身の危険はないのか?
の二点で、前者については
“一帯一路を完遂するにあたり、我々が不必要なのだろう”とのこと、後者については常に危険を感じるとのこと。
正直考え始めるときりがなくて
結局、自分は無力だというところに行きつくし、解決の糸口はなかなか見えてこないこの問題なのですが、なんでこんなに無力感に苛まれるのかというと、
ロヒンギャの問題しかり、筆舌し難い問題が自分が幸せに暮らしている地球のどこかで起こっているという事実を割と身近に感じてしまったので、果たして自分はこんなんでいいのだろうか?という自問自答なのですね。
あと、自分なりになんでこの問題が起こるのか?それはやはり“豊富な資源と宗教”、これに尽きるのでは?と思います。
昔、中国人である朝鮮族(つまり少数民族)の方と話すことがあって、その辺のことを聞いたら、「いいえ、政府は却ってよくしてくれますよ」と言っていた。確かに優遇政策はあるらしいが、
多分それは見かけ上も漢人と朝鮮族では大差ないし、独自の宗教を持たない民族はマイノリティのメリットを享受できる境遇にあるのかもしれない。しかしチベット族やウイグル族のような独自の宗教を持ち、とりわけウイグル地区のような地下資源豊富な土地を所有する民族については話が違うのだろう、きっと。
もう一つ疑問に思ったこと。どうして同胞は助けてくれないのか?それもネットで色々調べたのですが、こちらのコラムが詳しい
確かに、中国は今や二大大国のうちの一つだからむやみに手出しできないという実情があり、、
また、トランプ大統領が貿易問題とセットで突然ウイグル問題に言及したり、、
政争の具とならなければいいのですが、、、
最後に収容所から
ベカリ氏は言ってました。なんでこうやってみんなの前で(敢えて危険を顧みずに)自分の体験を語るのかというと、自分の身に起こったことを広く世間に知らしめるのが、現在のウイグルを救う事につながるとの思いからであると。
なんだか思いをぶつけただけになってしまいましたが、本当に美しい大自然と食べ物がおいしい(結局そこか!)この土地が平和を取り戻すのを切に願ってやみません。